40代からの学び直し 専門家が選んだ役立つ資格は
これからは「これ」と言えるスキルを保有する事が強みになります。自分の興味がある事、仕事の経歴を活かせる、これからの需要があるかを考慮するといいと思います。
今年こそは新しいことに挑戦したい。40代からでもビジネススキルは高められる。「学び直し」に役立つ資格を専門家が選んだ。
1位 中小企業診断士
中小企業の経営課題全般について診断・助言する国家資格。主な業務は相手先の経営陣と一体になって成長戦略を策定することだ。大企業に勤める人も「企業をトータルな視点で見ることができるようになり、スキルは勤め先でも生かせる」(上井光裕さん)。学識経験者らの評価が高く「官民で幅広く活躍できるフィールドがあり、経験が生かせる」(原正紀さん)、「難しい資格だが、これまでの知識・スキルを整理でき、開業の道もある」(浅野浩美さん)との声があった。
中小企業診断士になるためには「経済学・経済政策」「企業経営理論」などの1次試験に合格した後、登録養成機関が実施する養成課程を修了する、2次試験に合格して実務補習を受けるといった複数のルートがある。登録有効期間は5年だ。
2位 社会保険労務士
社会保険労務士法に基づく国家資格。採用から退職まで幅広く労働法務全般、公的年金・保険について相談に乗る。独立開業する社労士が多いが、企業所属のまま人事労務・法務部門で働く道もある。
「未来に向けビジネス環境に合わせた企業内の労務対応・体制整備の需要が増える」(沼山祥史さん)。資格の大原の能川有生さんは「働き方や雇用環境の変化でニーズが高まり、当校では2019年に比べ入学者が1.4倍に増加している」という。「人生100年時代に年金受給や資産形成・運用・承継の相談に有効な資格として取得を奨励している」(渡辺聡子さん)との声も。試験は年1回各地で実施する。
3位 ITストラテジスト
経営戦略に情報技術(IT)を取り入れる高度IT人材向け資格。ITを駆使してビジネスモデルやサービスを変える「デジタルトランスフォーメーション(DX)」への関心が高まるなか、CIO(最高情報責任者)やITコンサルタントなどが目指すのを想定している。
「今後の企業経営で最も有効な資格のひとつ。企業インフラからデジタルマーケティング、経営戦略まで経営者目線でマネジメントを行う上で有効」(会田祐一さん)。沼山さんは「情報システムの刷新のみならず、企業の重要な意思決定を行うため経営戦略や組織風土・文化を巻き込んだDX化の推進で活躍の場が広がる」とみている。
4位 情報セキュリティマネジメント試験
安全にITを利活用するための基本スキルを証明する資格。外部からの各種サイバー攻撃だけでなく、情報漏洩など内部不正からも組織を守るのが目的。ITに携わる部門全体の意識を高め、万一事故が発生しても適切な事後対応でトラブルを最小限にする力が求められる。
「組織の情報セキュリティーを守るために必要な対策を遂行するための基本的資格。主に情報システム部門で使える」(西山充彦さん)。「あらゆる職種で求められる情報の取り扱いを背景に企業内教育が進むだろう。スキルの証明ができれば市場価値につながる」(沼山さん)と将来性に期待する声もあった。
5位 応用情報技術者
高度IT技術者の一歩手前、基礎を身につけたエンジニアが力量のさらなる向上を証明するための資格。技術から管理、経営まで幅広い知識と応用力が試される。システム設計業界では一般に30代前半までの取得が期待されているという。
IT業界以外でも「テクノロジーのビジネスへの活用が広がる今、求められるのは我々(証券会社)のような企業のなかで自社ビジネスを理解し、かつデジタル技術を身につけた人材と考える」(武藤圭太さん)。DXの進展で活用の場が広がっている。
6位 ファイナンシャル・プランニング技能検定(2級以上)
生活に欠かせない貯蓄や投資、不動産運用など資産に関する技能を認定する資格。「人生100年時代のマネープランは人生の質を支える重要テーマ。その専門家として活躍が期待できる」(原さん)。渡辺さんは「コンサルティングに非常に有効。特に1級取得を推奨している」と強調。「高齢者の増加に伴う資産保全や事業承継、相続の相談には専門的知識を持った人材が必要になっている」(武藤さん)など、金融業界を中心に評価が高かった。
7位 日商簿記検定(2級以上)
企業の経営・活動を金銭面から記録・計算し、財務状況を明らかにするための伝統ある資格。2級試験では一般企業や商店で活用する商業簿記に加え、製造業のための工業簿記なども出題範囲に入る。「生産管理、事業の管理などで幅広い活躍が期待でき、取得によって大きく活躍の場を広げられる。会社の中では必要とされる場面が非常に多い」(大道寺義久さん)、「財務部門のみならず、あらゆるビジネスシーンで生かすことができ、上位資格のステップになる」(上井さん)。業種を問わない汎用性を評価する声が目立った。
8位 技術士
技術士法を根拠に、21の科学技術分野について高度な専門能力と応用能力の持ち主であると認定する資格。1次試験合格者は技術士補を名乗れ、実務経験を重ねた後に2次試験に合格して技術士となる。「技術者にとって最も権威ある国家資格で、取得すれば監理技術者や営業所の専任技術者になれる。公共入札参加審査でも評価され会社への貢献度が高い」(西山さん)、「専門性を高めるための学び直しに向いている。部下の教育、コーチング役として活用できると考えられる」(会田さん)。メーカーを中心に高く評価されている。
9位 宅地建物取引士
不動産取引を公正に進めるための専門資格。不動産会社であれば土地や建物の売買、賃貸物件の仲介などをするときに契約上重要な事項を説明し、購入者の利益を保護する役割を担っている。
「不動産売買や仲介をするには設置が義務付けられているので不動産会社で重視され、求められる資格」(浅野さん)だという。「金融、流通、小売業でも需要が増え、受験者数が20万人を超える人気資格。行政書士や社会保険労務士とのダブルライセンスで活躍する人もいる」
10位 ビジネス実務法務検定試験(2級以上)
日々の企業取引で実際に用いられる債権管理・回収、企業財産、株主対応などの各種法規制を網羅した実務資格。2級、3級はインターネット経由で受験できる。「コンプライアンス(法令順守)が重要視される中で、法律実務の知識を対象とした資格の取得は大変魅力的。マネジメントに関わる人材でも取得が望ましく、自身のキャリアの可能性、価値が上がる」(大道寺さん)、「個人情報の取り扱いやコンプライアンスなど企業の法務課題に対してリーガルマインドを持って対処できるスキルを証明する検定」と推薦する声が集まった。
11位 キャリアコンサルティング技能検定
キャリアの再構築に向けて助言・指導する国家技能資格
12位 第三種電気主任技術者
工場やビルの電気設備の保守・監督が可能。再就職に有利との声も
13位 保育士
人材不足が叫ばれており、社会的なニーズが高い資格